大分県中津市大貞にある「薦(こも)神社」にて、2020年11月から行われていた屋根のふき替え工事が2022年6月で完了予定となっています。
葺替え工事がほぼ終了したということで報道機関向けの説明会が行われ、普段は見ることのできないアングルから見ることができました。
間近で見る薦神社の神門はあまりに荘厳で、圧倒されっぱなしでした…。
説明会の様子を皆さんにお届けします!
薦(こも)神社
この度屋根の吹き替え工事を行なったのは、1622年当時の中津城主細川忠興(ほそかわただおき)によって宇佐神宮の再興と同時に造営された薦神社神門。
九州を代表する近世社寺建築として昭和63年(1988年)に重要文化財に指定されました。
写真に写っているのは薦神社社殿。
右端に写っているのが神門の右側面で、社殿とは違う向きに立っていますね。
これは神門が宇佐神宮の方向を向いて建っているからなんだそう。
宮司 池永孝生さん
「新たに命がふきこまれたよう」とほっとした様子で語る、池永孝生宮司(写真中央)
1995年〜1997年にかけて一度解体修理が実施され、その際に屋根の中からこけら葺(ぶき)の部材が発見されました。
建立後の改編により檜皮葺(ひわだぶき)とされ、以降に銅板葺(どうはんぶき)となった経緯が判明し、現状変更許可を経て現在のこけら葺に復原されました。
その後2015年に腐朽(ふきゅう)による上層屋根の部分的な陥没が確認され、鉄板などを用いて仮設措置をするに留まっていましたが、
国、大分県、中津市の補助を受け、総事業費70,000,000円、事業期間20ヶ月をかけ上層屋根の葺替を中心とした地盤調査、耐震診断などを行いました。
いざ!
さっそく足場を登っていきます。
中は狭いのでぶつからないように慎重に…
屋根の全貌が明らかに!
こちらが屋根の全体像です。
新しい木の香りと、幕で隔絶されているおかげでシンと静かな空間になっていました。
自然の照明があいまって神秘的です。
屋根上部
上層屋根のさらに上の部分。
こちらは一度取り外して作業を行なったそうです。
黒い木材の部分は墨塗りになっており、一番上には宇佐神宮と同じ三つ巴の社紋があります。
薦神社に行かれた方はわかるかと思いますが、社殿の方にある社紋は一つ巴ですよね。
これは宇佐神宮の三つ巴の社紋に対して、薦神社は一つ巴紋であることから、宇佐神宮の祖宮であると考えられているんだそう。
屋根細部
そしてこの板の薄さ、見えるでしょうか?
通常のこけら葺屋根は3mm〜6mmほどの板を敷き詰めていくのに対し、
薦神社神門では建築当時のこけら葺(ぶき)を踏襲し、全て手割りで作られたわずか薄さ2mm程の板を使用しています。
なめらかな美しい曲線を描けるのはこの薄さだからこそ。
ただ、その薄さのせいで痛みやすい側面もあるので、等間隔に銅板を挟み込み、腐食を押さえているんだともお話しされていました。
木材は吉野杉を使用。
寒い地域で育った吉野杉は目が詰まっていて強度があります。
(といっても2mm厚なので力が加わるとすぐに割れてしまうので撮影時は緊張が走りました…!)
全体で約6万枚もの柿板(こけらいた)を使用したこけら葺の屋根は圧巻です。
竹釘
柿板を固定するのは竹釘です。
鉄製の釘だと錆びてしまうため、この竹釘を使用するのだそうです。
職人さんは一掴みの竹釘を口に含み、方向を整えて出し、打ちつけます。
下段の屋根
こちらは一つ下の段の屋根です。
雨が当たる部分が黒っぽくなっていますね。
施工前はこの様な色味、風合いだった様です。
新しい神門
新しい命が吹き込まれ、令和に甦った薦神社・神門。
経年による変化も楽しみですが、木材そのものの色味を見ることができるのはこの工事幕を取り去ってから少しの期間です。
ぜひこの機会に皆さんの目でご覧になってみてください!
店舗名 | 薦神社 |
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住所 | 〒871-0153 大分県中津市大貞209 |
電話番号 | 0979-32-2440 |
内容は2024年04月11日時点の情報のため、最新の情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
ジモッシュ編集部
地元が嫌いとか好きとかじゃなく地元にしか興味がありません! 噂を聞きつければ現地に足を運び、文字通り「地元をダッシュ」して情報発信中。 思い立ったら即行動!普段から目を皿にして特ダネをさがしています。
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