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☆☆☆チョップ・イチロットンのシュミランガイド☆☆☆

「趣味」とは、人間が自由時間に好んで習慣的に繰り返しおこなう行為、事柄やその対象のこと。
又、趣味は道楽ともいわれるが、そこからは職業以上に、さらに「人生」というものが深く浮き彫りとされる。
私は趣味を通して、「人間」を知りたいのだ。

(2018.10.25)

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連載 第1回
【海賊と書いた男】

連載

自宅の応接間に敷かれた藍色の毛氈(もうせん)。
その上に縦1.2m×横35cmの和紙を置き、男は筆を握ると一気にその字を書き上げた。
男の名は浦橋英男、雅号は「英峰」。
誰に与えられたものでもない。
自分で名乗ったのだ。
何故なら、彼は「我流書道家」だからだ。

昭和21年生まれ、御歳72才。

昭和21年生まれ、御歳72才。

北九州市小倉北区出身。
昭和42年、山口県の国立大島商船高等学校(現・大島商船高等専門学校)を卒業した後、出光興産船舶部門出光タンカーへ入社。
その後はタンカーマンとして、日本〜ペルシャ湾航路に従事、原油輸送に励み38年、58才の時に定年退職。

男の父親は北九州の地で小さな習字教室を開いていた。
子供の頃の彼は、父親がやっている「書道」が好きではなかった。
教室を兼ねた家には、いつも墨の匂いが充満し、それがとても嫌だった。
だが、父親はそんな彼に書道をすすめることは一切なかった。
何故なら、「自らやりたいと思わぬ者に教えることはない」というのが父の考えだったからだ。
だから、彼の方も又、父から書道の教えを乞うことをしなかったし、それを避けていた。

昭和48年。

男は結婚を機に大分県中津市に住まいを移した。
住まいといっても、家と家族はあるものの、1年の内ほとんどを外国、いや、海の上で暮らし、又、船を降りれば2ヶ月ほどの休暇を得て、その後はふたたび旅に出るという、そんな生活だった。

そして、そんな休暇のある日、男はぷらりと散歩の途中、自宅の近所にある「福澤諭吉会館」に立ち寄ってみた。
もともと歴史には興味があった。
彼はそこにあるすべての物に目を奪われ、中でも、福澤諭吉のあの有名な言葉の数々を本人が直筆した書に感銘を受けた。
海より深く感動した。

男、34才

父はすでに他界していた。
彼はすぐに北九州の実家に帰り、父親が残した書道用具一式を風呂敷に包み、それを自宅に持ち帰った。
そして、それからは毎日のように字を書きまくった。
最初は墨のおろし方もわからなかった。
半紙の表裏もわからなかった。
だが、そんなことはどうでもよかった。
男は初めて職業以外の「やりたい」ことを見つけた。
又、それはくしくも、男があんなにも忌み嫌っていた「書道」だった。
あの「海賊と呼ばれた男」、出光佐三のもとで働いていた男は、実際に“本物の”海賊に襲われたこともあった。
結婚した4年後の昭和52年。
場所はマラッカ海峡。
23万トンもある出光丸は、東南アジアの小さな船から乗り込んできた数人の海賊に一時占拠された。
彼は首筋に青龍刀を当てられたことを覚えている。
下半身にジーンとした痺れを感じたことを覚えている。
今でもその時の話をしたら全身に震えがくるという。

現在、男はその38年の航海で体験した出来事などを講演という形で皆に伝えたりしながら、趣味である書道をパフォーマンスで見せたりもしている。
「豊前国 中津 黒田武士顕彰会」にも所属する彼は、ステージで自らそれを唄い、同時にその場でその歌詞を書くのだ。
又、正月には地域の企業や店舗100軒以上に、その年の干支の文字の書書を贈り、それはもう30年にも渡って続けられている。

男は言った。

「基礎を習うということはもちろん大切だ。でも、それが無いことを恥じることもない」と。
「自己流でもいいから、“やりたい”と思った時に始めればいい。堂々とやればいい」と。
それはまさに、男の父親が発した言葉への答えのようだった。

趣味とは「労働」ではない。

それによって生活しているわけでもないから「職業」でもない。
でも、趣味は「仕事」だ。
人間にとって金銭を得ることだけが仕事ではない。
趣味は立派な仕事だ。

男は最後に言った。

男は最後に言った。

「書は、ただ“好き”だというだけ」
そう、それ以上に“仕事”として崇高なことがあるだろうか。

ちなみに、男は、私、チョップ・イチロットンの叔父である。

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