フォトライター「くぼ²ちゃんねる」が、地元の風景・人・物を通して感じた気付きや感動を、写真を通してお届けします。
生きた証1
海岸線に沿ってロードバイクを走らせていると畑の中に奇妙な模様に囲まれた物置小屋を見つけた。
なんだろう?と畦道を抜け近づいてみると、壁のトタン板には不思議な模様が刻まれていて、とても新鮮に僕の目に映った。
何の模様だろう?興味津々でしばらくその場に立ち眺めているとヘルメットをかぶったままのロードバイクスタイルの僕を見て怪しい奴だと思ったのか一人の年老いた男が背後から声をかけてきた。
生きた証2
「どうかしたかね?」と怪訝そうな顔をして言った。突然だったので驚いた僕は挨拶ではなく「あっ、すみません!」といきなり謝った。というのもその小屋は畑の中に立っていて僕はロードバイクを道端に止めたままカメラを持ってその畑に侵入していたからだ。
年老いた男は「いや、それはいいがどうかしたのかね?」と今度は少し優しく穏やかな調子で聞いてきた。「いえ、何というか道路を走っていたらこの不思議な模様が気になって…」と言い「これは何の模様でしょうか?」と尋ねると「あーこれか、これはカズラの跡じゃよ。ずいぶん長い間ほったらかしにしてたからカズラで覆いつくされちゃってね、この間それを全部剥がしたらこんな模様ができてたんだよ」と笑いながら言った。僕は「あ〜なるほど、そういうことだったんですね。珍しいし面白いので写真を撮らしてもらっていいですか?」と尋ねると「そりゃ〜かまわんけど、あんたも変わった人だねぇ」と少し笑いながら言うので「ちょっとだけね」と言ってハハハと笑って返した。
年老いた男は少しの間、僕の撮影を見ていたが安心したのか興味をなくしたのかその場を立ち去った。
僕はと言えばその模様が生み出す絵画的なデザインがとても面白くて構図を変えながら気のすむまでシャッターを押した。
生きた証3
そして僕はふと思った。
「これは生きた証だ」と。
カズラはこの小屋のトタン壁を生き場として成長し太陽の光を浴びることで自身の姿かたちをここに定着することができた。
やっぱりこれはカズラの生きた証じゃないか。
そんなことを考えながら、ふと自分の姿を振り返ってみる。
僕自身はどうだろう?
これまでに生きた証なんて少しは残せているのかな?
海を渡る潮風に吹かれながらそんなことを考えた。
暮れる頃1
以前にも書いたと思うが写真を日常的に楽しんでいても最近なんだかワクワクしない、気持ちが乗らないし撮ってても楽しめないと言うスランプ状態に陥ることが時々ある。
暮れる頃2
そんな時、僕は海に行くことが多い。風景としての海も魅力的だがそこに集まる人たちを見ている方が数倍楽しめる気がする。
そこでスナップを繰り返しているうちに、いつの間にかスランプ状態から脱出出来てるって訳。
なぜだろう?
暮れる頃3
海に集う人たちってそれぞれが皆色んな思いを抱えてやってくるけど結局、海が好きなんじゃないかなぁ?
そしてそんな人たちを見て楽しんでる僕もやっぱり海が好き。
だからかなぁ?
内容は2024年04月11日時点の情報のため、最新の情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
ジモッシュ編集部
地元が嫌いとか好きとかじゃなく地元にしか興味がありません! 噂を聞きつければ現地に足を運び、文字通り「地元をダッシュ」して情報発信中。 思い立ったら即行動!普段から目を皿にして特ダネをさがしています。
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