フォトライター「くぼ²ちゃんねる」が、地元の風景・人・物を通して感じた気付きや感動を、写真を通してお届けします。
秋を探しに
先日、朝10時近くになって彼から電話があった。久しぶりの電話で「なんだろう?」と思いつつ出てみる。
「これからるるパークに行かないか?」と言う。「るるパーク?」思わず聞き直した。だってどう考えたって名前からしておやじ2人で行くようなところでは無さそうな気がしたし初めて聞く名前だったからだ。
「それって何なの?どこにあるの?パークって言うからには公園だよね?」と僕は矢継ぎ早やに質問を繰り出した。「ほら、あれだよ前の農業文化公園のことだよ。」と彼。
思わず「えっ!るるパーク?」と僕は小さく繰り返した。
そんなわけで親父二人11時には家を出た。
「それにしてもるるパークってなんかいいよね、語感もいいし何より覚えやすいよね」と僕が言う「そやね」と彼は言う「だって以前の農業文化公園ってどんな公園か頭に全く浮かばんかったもんね」「そやね、で今度は浮かぶ?」と彼「全然」と僕「でもなんか明るくて楽しそうなイメージはするよ」と僕「そやね」とやっぱり彼。
少し間をおいて「ところで何でるるパークなん?意味、意味?」と僕が聞く「なんかよう知らんけど遊べるとか泊まれるとか。あとなんだっけ?「楽しめるとか?笑えるとか、食べれるとか?」と僕「うーんそうそうなんかそんなんやった気がする。るがいっぱいついてるやろ」「なるほど〜、だからるるパークかぁ」僕が言う「そうそう」彼は言う「それにしてもいいネーミングだなぁ、誰がつけたんだろうね?」僕が聞く「知らんけど」
おやじの会話はひとまず終わった。
僕の家からるるパークまでの所要時間は約40分。
親父の会話は再び始まった。
「ところでなんで今日るるパークに行こうと思ったん?」と僕が聞く
「それなんやけど見に行こうと思った植物の名前がさっきから考えてるけど出てこんのよ」と彼は言う
「電話してきた時は覚えとったん?」と僕
「そう、夕べ調べたから」
「何かヒントとかないの?」
「秋になると紅葉するらしい」と彼は言う
「紅葉?色が変わるってこと?」と僕は聞く
「1年中楽しめるって言ってた」と彼が言う
さらに「春は緑で秋になって赤になってそして茶色になるらしい」と彼
少しでも花の知識があるひとならとっくに答えは出ていて別の話へとシフトしているのだろうが、その知識もないものだから会話は続く
「それって有名なやつなん?」と僕は聞く
「ここまできてるんやけどなぁ」と彼は残念そうにそして少しいらつきながら喉元を指差す
結局、目的の植物の名前は思い出せぬまま僕たちは悶々とした気分で車を降り歩き始めた。
「なぁに行ってみればすぐにわかるよ」と僕は言う
少し悔しそうに一呼吸置いてから「そやね」と、やっぱり彼はいった。
るるパークに流れる風は少し肌寒くておやじ二人は揃ってウインドブレーカーを羽織った。
午後3時を過ぎる頃には樹々の間からこぼれ落ちる光も既に弱々しかったけど、ファインダーの中で揺れる草花に秋の訪れを感じることができた。
帰り道「コキアだ」彼が小さくつぶやいた。
フェンスの少年
その昔、漫画の中によく登場するシーンとして思い出されるのが、小さな女の子が手に持っていた風船が風に飛ばされ木や電線に引っかかっているところに突然現れた優しいお兄ちゃんが取ってあげようとするシーンだ。
あれっ?知らない?そんな風に思ってるの僕だけ?
とりあえず話を進めよう(笑)
でも、これまでにそんなシーンに出会ったことなど記憶にない。
ところがである。いるじゃないか、目の前に。
自分のためなのか、近くにいる誰かのためなのか事情は全くわからないがとりあえずスナップ!
これが小さな女の子の手から離れたものだったとしたら、やっぱりいるんだぁそんなお兄ちゃんってことになって、きっと心がほっこりするんだろうなぁ。
ただの倉庫じゃない?
街歩きを続けていると、ふと何かに見られているような視線を感じることがある。
この日の僕は山国川河口に近い堤防沿いの道を軽く潮風に吹かれながらスナップを楽しんでいた。
「見られてる?」と感じたのはその時だった。
斜めに分けられた髪、サングラス?鼻筋は通ってるがおちょぼ口。
「誰?何なんだこいつは?」
ほら、見えてきたでしょ?
内容は2024年04月11日時点の情報のため、最新の情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
ジモッシュ編集部
地元が嫌いとか好きとかじゃなく地元にしか興味がありません! 噂を聞きつければ現地に足を運び、文字通り「地元をダッシュ」して情報発信中。 思い立ったら即行動!普段から目を皿にして特ダネをさがしています。
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