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【写真館】くぼ2ちゃんねる写真帖(Vol.9)

公開日:2021年02月03日 (更新日:2024年04月15日)

ライター:ジモッシュ編集部

フォトライター「くぼ2ちゃんねる」が、地元の風景・人・物を通して感じた気付きや感動を、写真を通してお届けします。

桜咲く頃1

「桜咲く頃」

毎年のことながら桜の季節は駆け足で過ぎていく・・・

以前カンボジアを旅した時のこと、シェムリアップと言う街で一人の老人に声をかけられた。「あんた、そんなもん買っちゃだめだよ、使いもんにならないよ」って。 どうやら僕が土産用に買ったハンモックのことを言ってるようで変な人だなぁと思いながらも観光客のようでもなく日本語が通じたのでついでに尋ねてみた「食事をしたいのですがこの辺りで美味しいお店を知りませんか?」と。ところが「それは出来ん、だってあんたと私の味覚は違うからなぁ」と。「なるほど、では質問を変えます、よく行かれるお店を教えていただけませんか?」と聞くと快く店まで案内してくれた。

桜咲く頃2

丁重にお礼を言いそのまま店内に入りテーブル席に腰をおろした。が老人は帰ろうとせずテーブルの向かいの席に同様に腰を下ろした。面倒くさい人に捕まったかなぁと思いつつ「一緒に食事でもどうですか?」と誘ってみたが「いらない、さっき食べたばかり」「ではビールはどうですか?」と尋ねたが「いや、結構です」と。困った僕は思い切って伝えた「僕は食事もしますし、ビールも飲みますよ」すると「どうぞ、私のことは気になさらずにどうぞ」と言い目の前でにこやかに笑っている。この老人の目的は何だろう?金か?それとも・・・とりあえず食事をしながら会話を続けた。60歳で日本の会社を定年退職しカンボジアへ移住したこと。こちらでの日常の生活等々。当たり障りのない会話を続けるうちに老人の表情が生き生きとしてきたように感じた。

桜咲く頃3

それは僕がここに住み続ける理由を問うた時だった。 「シェムリアップの街はこの20年で大きく様変わりした。観光の街となり人が溢れた。この辺の子供たちには遊び場が無い、だから遊びを知らない。小さいころから物を売りつけることを教えられて大きくなっていく。あなたは見たかい?街外れに中国資本で建設中の巨大遊園地を。あんなものにここの子供たちは行くことは出来ないんだ。必要なのは空き地、遊具なんて無くていい。空き地さえあれば子供たちは遊びを創造する、創造力は遊びの中から育つんだ、だから私はその空き地を手に入れ遊具の無い公園を造るためここにいる」と。 いつの間にか僕は老人の話に聞き入り誰かのために目的を持って生きる姿に感動すら覚えていた。 結局何事も無く店を出て別れ際、「それでも日本には毎年帰ってるよ、何故って?やっぱり日本の桜景色は最高!これだけは見ないとね、ついでに墓参りも兼ねてだけど」と言って笑った

桜咲く頃4

帰り道、何故あの老人は見ず知らずの僕に熱く語ってくれたのだろう? と色々考えてみたけどわからない。シェムリアップでの不思議な出会いに感謝しながらホテルへと戻った。

桜咲く頃、ふっと思い出すあの老人、空き地を手に入れる事は出来たかな?今年の桜は見れたかな?

内容は2024年04月15日時点の情報のため、最新の情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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ジモッシュ編集部

地元が嫌いとか好きとかじゃなく地元にしか興味がありません! 噂を聞きつければ現地に足を運び、文字通り「地元をダッシュ」して情報発信中。 思い立ったら即行動!普段から目を皿にして特ダネをさがしています。

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